やらかしてしまった。 今日、若年者教習とらなければならなかったのだが、 うっかりしていて、自転車を人に貸してしまって、 そのまま行けず、で終わってしまった。 (ちなみに貸した相手は今日卒検で合格したらしい。皮肉だ。) よって卒検は火曜になった。 またさらに日があくことになる。 果たして大丈夫であろうか!? 今日のみきわめも非常に微妙であった。 3週間も前に一度やって以来の縦列駐車が 本気で出来なかった。 「やりかた忘れました」と正直に言ったのだが、 「どうやって教えられたのか解らないからわからない」と言われてしまい、 立つ瀬がなくなってしまった。 まぁ、最終的には思い出したのでうまくいったのですが・・。 路上走行もいまいち感覚が取り戻せない。 そんなこんなで、 非常に凹んでしまったので姉の家で甥姪と遊んで暮らした。 甥は一皮目で非常に「あらぁ〜、まぁ〜〜」といいたくなる容姿の持ち主で、 おじさんとしては将来に期待するところ大なのである。 だが、それに劣らず姪のワカキン・ヘルスメーターも、 大物っぷりでは弟を圧倒しており、 これまた将来有望なのである。 だが、この若い力と渡り合うには、 この老体ではいささか辛いものがあり、 憔悴しきったこの体では、 こうしてキーを叩くことですら非常に億劫なのである。 あぁ、なんだか疲れる一日だった。 ------------------------------------------------ 『姉について』 僕は人からよく、「変だ」、「おかしい」、「ダメ男」、「おっぺけぺー」、 等と本当に頻繁に言われるのだが、 そんな僕でも我が姉の『変さ』には脱帽してしまう、それほどのお人なのである。 全くもって奇怪な人なのでどこから説明していいのか・・ 年齢は本人が非常に気にしているので伏せておくとして、 まず、姉はもう生きてはいないということをお話しておきたい。 そう、姉はもう亡くなっているのだ。 小さい頃に病名も付かない、医者がさじを投げてしまった病気で、 姉は他界してしまった。 だが、姉はあまりにも鈍感で、 自分が死んだことに気付かなかった。 どうやら家族も周りの人も気付いていなかったようだ。 初めてそれに気が付いたのは僕だ。 落ち着いて考えれば、そうとしか考えられないのだ。 姉には体温がない。 そして眠っている間は呼吸もしていない。 もっとも、起きている時にしている呼吸もカタチだけのものなのだが。 他にも気力が落ちてくると、 体にまだら模様が浮かび上がるなど、 死者ゆえの現象は山ほどある。 信じていただけないかも知れないが、事実である。 それが証拠に、姉は病院に行くたびに医者を困らせて帰ってくる。 「ありえない・・」 姉を診察した医者はみなそうつぶやくのだという。 それでも、姉はイマイチ自分のことを理解していない。 「最近、自分でも死んでるんじゃないかと思うんだ」 と最近よりもずっと以前から言い続けている姉であるが、 一向にその事実と真摯に向き合ってはいない。 そう、姉はとぼけた人なのだ。 そのとぼけっぷりはまたひどいもので、 一般の人には天然ボケと映ることも多いらしいが、 決してそうではない。 とぼけた人間なのだ。 うむ。 勢いでなんとか姉を説明しようとがんばっているが、 到底説明できるような姉ではない。 また、機会があれば説明したいと思う。 ------------------------------------------------ 姉はもう亡くなっている、という話は上記の通りだが、 姉は僕の中でもっと確実な意味でもう一度死んでいる。 あれは中学生の頃だったか、 それとも小学生の高学年の頃だったか、 ある日、僕はリビングのソファーにすわっていた。 すると、母親がそろそろと遠くから静かに近づいてきた、 そして、まだやや離れたところで立ち止まり、 「お姉ちゃん死んだわ」 と静かに言った。 耳の穴が塞がり、血が一気に心臓から頭に集まる感覚と共に、 瞬間的に様々な情報がもの凄い勢いで頭の中を吹き荒れた。 「なんで死んだんだ?」 「父はしっているのか?」 「事故か?病気はしてなかったからきっと」 「あぁ、死んだのか」 「母親はいま何を考えているのか?」 「母親は二階から降りてきたから姉の亡骸は2階にあるのか?」 「事故?」 他にも様々な言葉にすらなっていないような感情や疑問や情報が、 めまぐるしく行き交った。 今思い出してみると、 「あぁ、死んだのか」 という考えが非常に強かった気がする。 他の考えは浮かんでは消えなのだが、コレだけは頭に居続けている感じだった。 こうして、僕の頭の中では、 姉は本当に死んでしまった。 姉の死の際、どんな気分になるのか、 僕は一度経験したのだ。 ある意味では貴重な経験だ。 最後に説明するが、 母親は、姉が疲れてあまりにも深く眠っていたので、 「まるで死んだようだ」と思い、 一階にいた僕に前出のようなセリフを吐いたのであった。 人騒がせにも程がある。